
①ヤクスギランド~太忠岳(1,493m)

太忠岳山頂にそびえ立つ天柱石
天文の森から足を伸ばして
標高1,493mの太忠岳は、急峻な地形の屋久島の中では比較的登りやすい山です。もちろんそれなりの体力は必要とされますが、最初はここか黒味岳のどちらかに登ると良いでしょう。ヤクスギランドから天文の森までは緩やかな登山道ですが、釈迦杉を過ぎると徐々に道は険しくなっていき、しばらくすると急登が始まります。
ヤクスギランド入り口から片道3~4時間ほどで稜線に出ると、突如景色が開けて圧倒的な迫力を持つ巨岩が姿を表します。安房の町や太鼓岩、縄文杉登山バスの中など島のあちこちで目にしていた「天柱石」まで後少しです。

天柱石の足元から見上げる
多少天気が悪くても楽しめる
天柱石はその足元まで登り、手で触れることも出来ます。高さ40mにもなるビルのような岩を目の前にすれば誰しもが圧倒されるでしょう。
もし黒味岳やモッチョム岳に登ろうとした日に天気が悪ければ太忠岳に行き先を変更するのもアリです。例え雲に包まれても遠くの景色が望めなくとも、天柱石の姿は常に変わらないのですから。
※天候によって沢が増水したり登山道が危険な状態になることもあります。出発前に下記サイトより、「今日のヤクスギランド」をご確認下さい。

屋久杉の森から登山は始まる

ヤクスギランドへのアクセス
安房から車で30~40分。又は路線バスを利用。
※バスの停留所及び発着時間は下記リンク先より時刻表をご確認下さい。
②淀川登山口~黒味岳(1,831m)

山頂から海を見渡す
森を抜けて
黒味岳も太忠岳と同様、屋久島の中では比較的楽に山頂に立つことの出来る山として人気があります。淀川登山口から40分~1時間程で淀川小屋と淀川に到着。橋を渡ると急登が始まり、約2時間で花之江河です。天気が良ければ目の前に黒味岳の山頂が見えていることでしょう。
ここまで来ればあと少し。宮之浦岳との分岐点を左に曲がり、いくつかのロープを登って行けば稜線に出て、黒味岳山頂の巨岩が姿を現します。
巨岩をぐるりと回る道を登り、切り立った岩の天辺に着くとそこが山頂です。遠くに宮之浦岳や永田岳等、屋久島の山々を一望する眺めは太鼓岩以上。巨岩があちこちに露出した屋久島独特の山容は、ここまで来てようやく目にすることが出来ます。

朝日を待つ
日の出や夜の星空も
日帰りでも往復7~8時間程なので、晴れた日に登山するならまずはこの黒味岳へ行きたいところ。もしくは縦走登山で立ち寄ったり、石塚小屋に泊まっての一泊二日も良いでしょう。
日の出前に小屋を出発すれば山頂で朝日を迎えることが出来ますし、山の夜空もまた格別。周囲数十キロに大きな街のない屋久島の空は非常に暗く、空全体に輝く星々は忘れられない思い出となるかもしれません。

花之江河から約1時間で頂上へ

淀川登山口へのアクセス
安房から車で50分~1時間、又は路線バスを利用。
(バス停「紀元杉」より徒歩約30分
※バスの停留所及び発着時間は下記リンク先より時刻表をご確認下さい。
③千尋の滝~モッチョム岳(940m)

尾之間集落から見上げるモッチョム岳
屋久島三大壁
屋久島では里から姿の見える山を「前岳」、それよりも奥深い島の中央部に位置する山々を「奥岳」と呼びます。神域である奥岳に対して前岳は人々の暮らしにより近く、アクセスもしやすいのが良いところ。その中でも代表的なのが海から突き出るようにそびえ立つモッチョム岳です。
島の南部へ来たら真っ先に目につく大岸壁はクライマー憧れの地でもあり、頂上に立てば里と海を一望する絶景が広がっています。

900m以上の高低差を見下ろす
スタートは千尋の滝
まずは巨大な花崗岩の一枚岩とその谷間を流れる落差60mの千尋(せんぴろ)の滝を見てから登山を始めましょう。登山口からいきなりの急勾配に戸惑うかもしれませんが、この急登がずーっと続くので覚悟しておきましょう。
標高979mの神山展望台まで来れば景色が開けてモッチョム岳山頂が目の前に見えてきます。あと少しと思いきや、本当に大変なのは実はここから。崖のような斜面をロープを使い何度も昇り降り、険しく細い道をゆっくり進んでいかなくては滑落の危険もあるルートです。
片道約3㎞と距離は短いものの、難易度は屋久島日帰り登山の最難関といってもよいでしょう(整備された登山道のある山では)。

苔むす沢で一息ついて
モッチョム岳(本富岳)info
標高
登山口
距離
高低差
所要時間
940m
千尋の滝展望台モッチョム岳登山口
往復約6㎞
729m
4~8時間

モッチョム岳登山口へのアクセス
安房から車で約25分、宮之浦から約50分で千尋の滝駐車場へ。登山口は駐車場から徒歩1分。
※千尋の滝駐車場は最寄りのバス停から徒歩約1時間。
⑤淀川登山口~宮之浦岳(1,936m)

時には山頂で朝日を迎える
山好きなら一度は登りたい
直径30km満たない島ながら、九州の高峰を数えればほとんどが屋久島の山岳であることを知れば大半の方は驚くでしょう。(九州の山の高さは1~8番まで屋久島)
その最高峰が島の中央に位置する宮之浦岳。山好きであれば誰しもが目指したい頂きです。
「グレートトラバース~日本百名山ひと筆書き~」で知られる田中陽希氏を山頂で見かけたのが2018年の年明け頃。聞けばこれから日本3百名山ひと筆書きに挑戦するとのこと。
その後日本を縦断し、2021年8月に最後の利尻山頂上へ辿り着いた旅の始まりもこの山でした。

ぐるりと囲む海を見下ろす
山の上は別世界
とはいえ標高1,936mは本州の山々に比べれば決して高いものではありません。道も比較的整備されており、経験豊富な登山者でなくとも山頂には立つのは難しくないでしょう。
ただしそれも春から秋までの話。南の島とはいえ、冬になれば森林限界を超えた山岳地帯は雪に覆われ本格的な装備が必要になります。
島へ来る前の情報で雪がまだ付いていないと思っても、突然の寒波によりドカ雪が振ることも珍しくない地域です。12月・3月なら最低限チェーンスパイクを、1・2月は10~12本爪アイゼンを携帯して行きましょう。
※2020年12月には永田岳山頂付近で滑落死亡事故が起きています。

巨岩奇岩の連なる山容

淀川登山口へのアクセス
安房から車で50分~1時間、又は路線バスを利用。
(バス停「紀元杉」より徒歩約30分)
※バスの停留所及び発着時間は下記リンク先より時刻表をご確認下さい。